禅蔵かるた<後編>

「ち」
地獄まで連れてってやる
嘯いたあなたは
今頃どこで
生恥を曝す


「り」
凛として立つ人よ
泣きたいときは
地獄で洗った
胸一枚此処に


「ぬ」
泥濘で抜け殻のおれ
糠味噌のきみ
抜き差しならぬ
抜き足の日々


「る」
ルクセンブルク
ジャンヌ怠く歩く
マルク尽きて
軽く立眩み


「を」
reggae(をんがく)と赤ワインと
きみの不在
よろめいた鉄路に
夏の匂い


「わ」
割れた窓に
枯れた花と
垂れた乳
「気が済むまで想っています」


「か」
カーテンの陰に隠れて
カルキ抜き
空回りかしら
カラスからかう