ありがたい人生

時給三百円の人生だ。
かつて八百円や千円のこともあったが、そのときは零円かマイナスの歌をうたっていたから均せば三百円だった。
いまはひたすら三百円の農民だ。
であるけど、おかげさまで元気だからありがたい。


そういえば昔、NPOで時給三百円くらいで働き倒して、かつ歌もうたっていたから、そのころは均せば百円か二百円だったろう。
寝る暇もなくて、頭は狂うし十二指腸潰瘍で辛かった。
ということは気力と体力さえあれば、いまの暮らしでもうたえるということか。
狂わなくて潰瘍もできない自信がついたら、歌をうたおう。


でもだけど、懐に残るのは零円かマイナスでもライブのチケットやCDの売り上げを合計したら結構な金額になるだろう。
いろんな人が買ってくれたのだ。
時給千円や三百円の中から貴重なお金で買ってくれたのだ。
いまも野菜を買ってくれる人がいる。
なんとありがたい人生だろうか。


せめて五百円くらいになったらいいなというささやかな夢はあるが、
これからも世のためにならない野菜や歌を売ってありがとうありがとうと云いながら、
死ぬまで生きていかれたらそれ以上望むものはない。
明日も早いし今日はもう寝よう。
だけどよ、明日起きたらそのときは今日になってるんだし、
今日しかないのだ。
今日しかない。