自己の定義について(自己と自我)

〜元々言語で表現したり、知性で理解できる範疇の外にあること(自己放棄)の方便として、
 ぎりぎりのところまで思考するための道標①〜
おおざっぱに言って、
●仏教哲学(唯識思想)・インド哲学(ヴェーダーンタ哲学)
 自我と同義で使われる場合が多い(「自己」も「自我」もサンスクリット語アートマン Atman」の訳語)が、「自己=self」「自我=ego」と使い分ける場合等。
 Atmanの訳語としては、他に「霊魂」「霊我」等。Atmanの英訳は、ego, self, soul, spirit等。
●西洋哲学
 自我=自己を対象とする認識作用という定義等。
●心理学
 「自己」=「客体」=「self」、「自我」=「主体」=「ego」という定義等。
精神分析
 自己を分析して、自我(エゴ)=意識層の中心の機能、イド(エス)=無意識層の中心の機能、に分ける。
●分析心理学
 自我=意識のなかに存在する元型で、意識の中心、個人の意志主体。
 自己=心全体の中心であり、個人の精神発達において、心全体の均衡を図る力動点。
●他にも道(タオ)の考え方、キリスト教(神学)的定義、神智学(人智学)の分け方、免疫学の「自己」と「非自己」、物理学・量子力学的解釈、生物学・大脳生理学・遺伝子工学的アプローチ等など。


様々定義がある(できる)が、主に西洋で「自我」<「自己」という考え方が多く、
例として、
○西洋人は自我を中心とする意識構造を持ち、それを包括する自己の実現をめざす。
○東洋人は自我が弱く、無意識内にある(自己)へ志向した意識構造を持つ。
といった用法をされる。


自我のほかに、意識・無意識、主体・客体、「識」、身体、「私」といった言葉と関連付けながら思考していきたい。