ある春の

新宿の夜、俺は何かを決めて靖国通り。少し遠回りして西武新宿の駅へ。躁鬱を繰り返す度に世界は、のたうち回り反吐を吐く。苦しいのはむしろ世界で、俺はバラ色の溜め息と白いひかり。
あれはバンドも何もかもやめて墜落を始めた頃だった。国分寺の朝を切り裂いた酔いどれ天使。救いようのない西荻窪の吹き溜まり。すべてはそこから始まっていたのだ。行方を探していたのは、たぶん自分自身だったのだ。
ここから長い道のりになるんだろう。ある春の夜、目が開いて美しい世界がそこにあった。