骨を見る

欲しいものはない
行きたい場所もない
もしきみに会えるなら
できればこの世で


きみの服を剥いで
きみの皮を剥いで
肉や臓を食らい
骨をしゃぶったとき
やっときみに会えるのか?
それともすでにきみはいないのか?


飛行機に乗っても
高速を飛ばしても
きみに会えないのならば
この世もむなしい


手に入れたものも
手に入れられなかったものも
遅かれ早かれいつか土に還る
形あるものはすなわち空っぽでありつつ
いまここでこの胸にあるものは形あるきみでもある
ゆっくり呼吸を数えて
100億数えてからきみに会いに行く
時間がそもそもないように
そもそもありもしない煩悩に振り回されて
きみを見失わないように
鏡を見て
わたしの皮を剥ぎ
肉も血も袋も捨てて
わたしの骨を見る
きみの骨と
わたしの骨が
会いたかったよと
手と手をとりあうことができますように