月光

いつものように外で立小便をしながら見上げると
今夜もお月様がこっちを見ている
ちっぽけな妄想や打算や
けちな嘘や言い訳もすべて
お見通しで何も言わずこっちを見ている
もう何年も何十年も何も言わずじっと見ているだけ


本当に伝えたいことは何だろう?
幾千幾万の言葉を費やしても伝わらないことが
ほんの一瞬でも伝わったのならば
それだけでいいのだ
それだけで満ち足りているのに
また新しい妄想を産み出し胸を掻きむしる


お月様よ
無言の愛は
やさしくて
ひどく苦しい