平日のひと搾り

深夜バスに二十一人が乗り込もうとしている。俺は長い列の最後尾二十一番目に並んでいる。

思うのだけど。最初はむしろ言葉がないほうがベターで。だんだん言葉なき信頼に堪えられる範囲で言葉を使用し喋り尽くす前に再び止めてしまうのがいい。

タクシーより深夜バスのほうが安く人それぞれ金で買えるものと買えないものを思案し左足と右足が交互に踏み出せる範囲の嘘をつく。

瓢箪からイルカが飛び出たときくらい種明かしをせがまず黙って拍手しろ。